深川澪通り木戸番小屋 (講談社文庫)



深川澪通り木戸番小屋 (講談社文庫)
深川澪通り木戸番小屋 (講談社文庫)

ジャンル:歴史,日本史,西洋史,世界史
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木戸番をめぐるホームドラマのようなお話だけど・・・

体ががっしりして古武士のような風貌の笑兵衛と、立居振舞に品があり転がるような声で笑うお捨。
主人公の二人は、およそ木戸番には似つかわしくない、いわくあり気な老夫婦(今でいえば中年夫婦)として話が進展し、その素性は最終章で明かされる。

木戸番小屋に出入りする様々な人物にも個性があり、夫婦を中心としたホームドラマのような感じで作品としては楽しめるのだが、
いまいち読書に乗り切れないのは、文章に馴染めないからだろうか。

文中で現実と回想の区別がつきにくく、話が突然どこかに飛んでいるような箇所があって、文脈のつながりが判りづらい。
また、やけに遠回しな例えや、説明不足で文意が読み取れない部分がある。
そのような訳で、読書を止めてしばし考えなければならないことが多くて、どうしても作品にのめり込めなかった。
私に読解力がないだけ?
北原亞以子氏の最高傑作です。

読者のために、あえて内容には触れませんが、読みやすい連作短編集でありながら、全体として一つの長編となっています。お捨さんと笑兵衛さんには実は秘密が---。
最近は「慶次郎シリーズ」で知られ、「恋忘れな草」で直木賞受賞の北原氏ですが、泉鏡花賞にとどまった本作こそが最高傑作です。捕り物ではない、「人情話の時代小説」を確立した本作、是非ご一読をお勧めします。特に一編目の文章の綺麗さ、構成の鮮やかさは見事です。
豊かな時代?

貧しくても、人情味溢れている町・時代、もちろん同時代の現実はもっともっと厳しかったであろう。だが、著者の描く世界は、主人公や彼らを取り巻く人々、町の風景、日々の暮らしなど、実際こうであったろうなぁと、引き込まれ、心癒される。殺伐たる現世の流れに押し流される毎日。本書を開き、しばらくは自分を深川澪通りに住まわせ、物語の余韻に浸りながら・・・



講談社
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